拓殖大学国際学部が総力をあげて取り組んできた『東アジア長期経済統計』(全15巻)が完成しました

㈱勁草書房からよりこのほど『経済成長と産業構造』が上梓され、『東アジア長期経済統計』シリーズ(全15巻)が完成しました。
同シリーズは拓殖大学国際学部が総力をあげて取り組んできた力作で、私も監修者として編纂に参加しております。
東アジアの産業構造は半世紀にわたる工業化の過程で激しい変化を遂げ、工業化の進展は農業構造に変容を迫り、都市化を通じて社会状況を変貌させました。そうした東アジアの発展の軌跡を追ったのが同シリーズといえます。

〈シリーズ各巻概略 ※刊行年月順〉
◆『外国貿易と経済発展』
東アジア特有の発展パターン「輸出志向型発展」の態様を貿易構造ならびに相互依存関係を通じて統計の面から実証。

◆『経済発展と人口動態』
東アジアの膨大な人口データを収集・推計し、半世紀に及ぶ各国の人口動態を観察するとともに、所得水準が上昇し、産業社会化・都市化の進展にともない、東アジアの人口構造がいかに「転換」したかを実証。

◆『工業発展』
東アジアの工業発展に対する分析に不可欠なトピックとして、「経済成長」、「貿易・直接投資」、「資本蓄積・技術進歩」、「生産規模」の4テーマを取り上げ、それぞれ工業化との関連性において基礎的事象を整理。

◆『中国』
中華人民共和国建国以来の半世紀に及ぶ経済統計を収集し、概念の整合化を図りながら長期時系列推計を試みる。

◆『台湾』
50年にわたる統計の収集・推計をもとに台湾の経済発展における農業の役割、輸出志向工業化の進展、雇用構造の変化、「転換点」の実証などを試みる。

◆『環境』
東アジアの経済成長による環境問題の長期分析を可能にするよう関連統計の収集・推計を試み、環境と開発について分析。

◆『社会指標』
民主化の度合を測るための社会指標について、教育・保健分野に焦点を当てて考察。

◆『韓国』
韓国の第二次大戦後の急激な経済発展をマクロ統計を収集し推計することから考察。

◆『財政』
統計の収集・推計にもとづき、東アジア各国の経済発展と財政規模、中央政府と地方財政、財政収入・支出構造、財政制度について解説。

◆『農業近代化の過程』
1980年代に入り、「緑の革命」の成果を受けて急速な発展をみせたた東アジアの農業。要素価格、要素代替、技術進歩をキーワードに農業の近代化を分析。

◆『労働力』
労働統計は東アジアの中で最も収集困難、かつ信頼性も低い。ILO(国際労働機関)と各国の統計にもとづき、50年にわたるこの地域各国の産業間就業構造、地域間労働移動のさまを明らかにする。

◆『金融』
金融の重要な役割は、資金を最も効率的に利用する投資者に貯蓄を配分する「金融仲介」機能である。この役割がどの程度演じられたかを、IMF(国際通貨基金)、各国の金融統計を通じて解説する。

◆『インフラストラクチュア』
一国の経済発展の基盤を形成するものが、道路、鉄道、港湾、発電所、灌漑・排水設備などの「産業インフラ」。各国の統計を収集・推計し、交通運輸を中心に産業インフラと経済発展との関連を分析する。

◆『国際収支』
国際収支統計は一国の対外経済関係のありようを最も的確に示す素材。「開かれたアジア」として世界との経済取引を多様化させ深化させてきたアジアの発展の道筋を、国際収支というフィルターを通して一望する。

◆ 『経済成長と産業構造』
成長と構造の観点からシリーズ全体を概観。東アジアの経済社会発展の軌跡を追うための、長期かつ比較可能性をキーコンセプトに収集した「知的インフラ」、ここに完結。

関心のある方は、下記の勁草書房サイトよりお求めください。

〈発行元〉
勁草書房サイト

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